馴染みの環境づくり 入り口は「その人らしく」出口は「地域」
| 全個室・ユニット化の空間構成としては、“プライベートゾーン”としての個室、そしてそのすぐそばに“セミプライベートゾーン”というせいぜい10人ぐらいでゆっくりお話ができたり、朝ご飯が食べられる、アットホームな空間をつくることが必要です。 次に、クラブ活動やおやつづくりなどをグループで行う“セミパブリックゾーン”、そして地域の方々も含め大勢で集う“パブリックゾーン”、この4つの空間が必要だと言われています。「4つの空間」がうまく機能しあって初めて生活になる、そう考えられているのです。 自分の部屋の前に少人数で憩えるリビングルームがあると、部屋に閉じこもるより、ちょっと出てみようと誰でも思うはずです。そして、次第に大きな空間に出て、人間関係を豊かにつくっていく。目標は地域に住む生活者としての暮らしです。 また、単に個室とユニット、4つの空間を配置し組み合わせただけの設計ではなく、これまで高齢者の方々が暮らしてこられた馴染みの環境をつくることに努めました。 |
![]() |
1つ例をあげますと、車椅子は1人ずつその方の体の特徴や寸法に徹底して合わせており、機能も優れたものを使っています。
このように、設備・備品のさまざまな配慮によって55人の定員ですが、開設後1年間で半数以上の方の日常生活動作が著しく改善しました。
また、部屋を出たところにセミプライベートゾーンがあり、少人数で楽しい時間をもてるわけですから、時間帯によってはほとんど部屋に誰もいないということもあります。ハードの力で部屋に引きこもらず生活が活性化されていくのです。
![]() |
特養で3大介助といわれている、食事・排泄・入浴介助も全く変わりました。たとえば、朝ご飯はセミプライベートゾーンで食べるのですが、早起きの人は7時過ぎから、3階にバーがあるので前夜バーで飲みすぎた人は9時ごろから、ということで、7時過ぎから10時半頃までご自分の好きな時間に起き出し朝食をとることができます。前述の時間の落差をなくすとりくみの一つです。 入浴介助はマンツーマン、1対1で行っています。大浴場はつくらず、介助が必要な方も家庭に設置しても良いような座浴槽かヒノキの個浴槽に入ってもらっています。最初から終りまで1人の職員がついて、自分でできることはしていただきながらゆっくり40分から50分かけて入っています。 また、排泄介助についても、それぞれの個室にオムツが置いてあり、オムツ交換用の台車などはいりません。また、ユニットケアのため、職員が1人ひとりの尿パターンと尿量を把握できますから、1人ひとりに合わせたオムツ交換に徹することができ、夜の熟睡を確保できます。従来のオムツカバーでなく、パンツ式のカバーですから、見た目もスリムで、外目にはオムツの使用がわかりません。 全室個室とユニットケアの入り口は「その人らしく」、出口は「地域だ」と言われておりますが、すべての人が最もその人らしく暮らせることが重要です。 |





