先輩インタビューInterview
一人の人のために、
チームになれる。
全力になれる。
- 機能訓練指導員
- 2020年10月入職 S.K
- 短大→専門学校卒業

一人の人のために、
チームになれる。
全力になれる。
「機能訓練指導員」とは、ご利用者が日常生活で必要な身体機能や日常生活動作の維持・向上などに必要なリハビリを提供できる職種のことです。私は、作業療法士資格を持つ機能訓練指導員として、ご利用者お一人おひとりの身体面、精神面、心理面でどのような変化があるかを観察し、必要に応じて生活リハビリの見直しや福祉用具の選定を行なっています。
生活リハビリとは、食事や着替え、トイレなど「日常生活動作そのものをリハビリ」と捉え、適切な介助で能力の維持・向上に導くというものです。当施設の特養では、3カ月に1回のペースで、介護職員や看護師、相談員とともにリハビリの内容を見直し、私が個別のリハビリも行うなど、一日でも長く自立した生活ができるような支援を提案しています。ご利用者の普段の生活の中でADL維持に向けた動作練習をいかに取り入れていくか、医療機関で培った経験と照らし合わせて考えています。食事や排せつ場面でご利用者と過ごす時間を持ちながら、生活リハビリのあり方を考える日々です。
仕事の性質上、慢性的な腰痛や肩こりは介護職員の職業病といわれています。志の高い介護職員の職業人生を短く途切れさせないために、ノーリフティングケア(持ち上げない介護・抱え上げない介護)や、福祉用具の適切な使用方法を指導するのも私たち作業療法士の仕事です。特に福祉用具は、テキスト通りに使うことが、いちばん安全で介護職員にも負荷がかからない方法なのですが、慣れとともに扱い方が自己流になりやすい一面もあるため、定期的にチェックし、正しい使用の周知に繋げています。
専門的な視点でご利用者にも介護職員にも負担の少ない介助方法を提案し、ベテランも新人も、同じレベルのケアが提供できるように支え続けることが、今の私の目標です。
きらくえんに入職してよかったと思うのは、ご利用者がその人らしく過ごせるようにと取り組む「チームの一員」だと実感できることです。例えばこんなことがありました。その方は、介助なしでのトイレが難しい状態でしたが「ちゃんと自分で済ませたい」という強い気持ちをお持ちでした。介護職員と意見交換しながら整えた部屋は、普通の部屋と比べると手すりの多い空間になりましたが、その方はご自分でトイレを済ませるようになったのです。ご本人やご家族の思いを汲みとり、叶えるために、全力で取り組めるきらくえんでの仕事に「ここまで考えていいんだ!」「こんなこともしていいんだ!」とワクワク感を覚えました。ご本人の状態から通常なら不可能に思えることをいかに実現させていくかを、チームで考える。このプロセスは本当に楽しいです。
特養は「終の住処」に選ばれることも多い場所。そのような場所で、自分はどのように関わるのことができるだろうと考えていたところ、「ノーマライゼーション」を法人理念に掲げるきらくえんの存在を知り、入職に至りました。とはいえ、入職当初は前職までの感覚が抜けず、一方で早く現場に溶け込みたい焦りも入り混じり、気持ちがついていかない時期もありました。作業療法士として、その方の既往歴からどのような生活ができるのか評価し、支援していくことを自分なりに考えてきたつもりでしたが、きらくえんで働き始めて自分の考えの浅さを痛感しました。できることを評価するだけでなく、さらにもう一歩踏み込んで、ご利用者の「やってみたい」「できるようになりたい」気持ちを第一に考え、ケアする私たちができることを日々考え続けること。それこそがノーマライゼーションの実践なのだと、経験を重ねるうちに思うようになりました。
マスクで表情が見えなくても、笑顔で、感謝の気持ちを言葉にするようにしています。私が作業療法士を目指すきっかけになったのは、中学時代、仕事でスウェーデンに向かう母について行ったときのことです。医療関連の仕事をしている母と一緒に、あちこちの病院や福祉施設を訪れると、笑顔でくつろぐ高齢者の隣でニコニコしながら仕事をしている人がいました。のちにその人が「作業療法士」とわかるのですが、高齢者を笑顔にしながら、自分も笑顔で働いている、その姿に憧れを覚えました。きらくえんで働く今の自分も、あの時の憧れの人に、ちょっと近づけたかな……と思っています。
きらくえんは、介護経験や勤務年数、専門職域の違いに関係なく、個人の意見を尊重し合える環境だと思います。グループ施設には「機能訓練指導員」として私のほかにも、理学療法士や言語聴覚士が在籍しているので、お互いの得意分野の情報を定期的に共有できています。最近では、外国人の介護職員も増え、「その人らしく、の『らしく』って何?」と、日本人なら感覚的にわかる表現を質問されることもあり、より綿密なコミュニケーションが大事になってきました。意識や認識のズレをなくし、同じ目線、同じレベルのケアを実践する難しさを感じる時もありますが、ご利用者が最期までその人らしく過ごせるように何ができるか、一緒に考えていける人が新しい仲間になってくれるとうれしいです。