介護保険制度の活用も、<br />
「ノーマライゼーションの実践」<br />
のひとつだと思います。<br />

vol.1

介護保険制度の活用も、
「ノーマライゼーションの実践」
のひとつだと思います。

KOBE須磨きらくえん ケアマネジャー

2007年4月入職

菊地 克暢(キクチ カツノブ)

専門学校介護福祉学科 卒業

ご利用者とご家族に適した、介護サービスの提案を目指しています。

介護職員から、ケアマネジャーとして配属されました。

ケアマネジャーは、自宅で生活されている高齢者に向け、ヘルパー訪問の調整をはじめ、介護保険が適用できるさまざまなサービスのご紹介やご提案をしています。
ケアマネジャーになるまでは介護職員をしていました。「ケアマネジャーにならないか」と打診されたとき、人と話すのが苦手な私にできるのかと不安でしたが、実際は、ご家族やご本人、他職種の方や同業他社の方など、さまざまな考え方に触れ、仕事としてだけでなく、いずれ自分や自分の家族がたどる道としても、すごく参考になることばかりです。

「自由な生活」を求める高齢者、「安全な介護」を求めるご家族。

在宅の高齢者も、そのご家族も「施設に入居する」という選択肢に抵抗をお持ちです。もちろん、施設には同意の上で入居されますが、その決断までには大きな葛藤があります。「住み慣れた場所で、自由な生活を続けたい」というご本人の気持ち。一方で、ご家族には「自宅での介護はしんどい。でも、施設に入れると見放してしまうことにならないか」という気持ちがある。両者の思いを汲み取りながらも状況を見極め、よりよいと思われる提案や選択肢を豊富に提示します。最終的には当事者ご家族に決めていただくのですが、思いに応える提案の難しさを常に感じています。

生命、生活、人生。今、重点をおくべきは、どの「LIFE」なのか。

「3つのLIFE(生命、生活、人生)」は、認知症ライフサポート研修で知った言葉。その時々の状況によって、3つの「LIFE」のうちの、どこに重点をおいた支援をするかという考え方です。在宅の高齢者は身体の状況が目まぐるしく変わるので、提案に迷った時は、この指針に立ち返っています。ご本人とご家族の考えに大きな違いがある場合は、自宅で暮らし続ける限界をどの時点と設定するのか、ご本人やご家族と話し合う時間をもうけます。マイナスなゴールをイメージさせる辛い場面でもありますが、「そうならないために、こうした方がいいですよね」とご提案するのが、私たちの役割でもあります。

認知症介護者の声をすくい上げることが、生きた支援につながるはず。

上司や同僚と語らいあう、風通しのよい職場環境

軽い気持ちで進んだ福祉の道ですが、人間関係でストレスを感じたことはありません。入職当初から先輩も優しく丁寧に教えてくださったし、いろいろ話し合える同期もいる、上司にも意見が言いやすい。そうした環境は今でも変わらず、きらくえんの良さだと思います。
要介護の方、さまざまな疾患がある方が、少しでも当たり前の生活ができるように、職員みんなが、それぞれの持ち場でがんばっています。きらくえんの理念「ノーマライゼーション」という考え方は、もともと障害者支援から来た言葉ですが、誰もが地域の一人として、当たり前の生活をしていく権利は高齢者の方々にもあてはまり、介護保険制度の活用も、ノーマライゼーションの実践につながっています。

語らいの場を作って、認知症のご家族も支えたい。

利用者の約7割が認知症と診断されています。一人ひとり違う症状で現れる認知症。その言動の奥底に、なにが秘められているのか少しでも近くためにも、当事者やご家族の声をすくい上げることが生きた支援につながるのではと感じるようになりました。そこで私は、認知症のご家族の会に参加し、そこで勉強したことをアドバイスの一つとしてお伝えしています。実際に認知症の進行に悩まれているご家族に、似たような事例をお話しすると、そのご家族が心の底から納得されたような様子になるのがわかります。「その先」を知るだけでも、ご家族も進行を受容でき、心持ちが違ってくるので、きらくえんでも以前行なっていたように、認知症のご家族が語り合える場を作って、少しでもご家族の心身の負担が軽くなるサポートもできるようになりたいですね。
この仕事を続ける上で「自分自身の心身の健康」がいちばん大切だと感じています。感情移入も大事ですが、自分の心や体が健康でなかったら、相手を元気にすることもできないと思うんです。「誰かのために」のために、まずは自分をいちばんに考える。思い詰めず「いい意味で適当に」が、私のスタンスです。